今が旬の湖西の不動産情報掲示板
高島市文化財 新たに2件 古文書群395点の追加指定も
2014年4月1日
 ■室町時代の仏画と高島硯の製造用具一式

 高島市内の寺院が所蔵する室町時代の仏画「絹本著色(けんぽんちゃくしょく)地蔵十王図(じぞうじゅうおうず)」と地元の伝統工芸品「高島硯(すずり)」の製造用具一式が、新たに同市文化財に指定された。これで同市指定文化財は124件。また、江戸時代にこの地を治めた大溝藩主の分部(わけべ)家に関する古文書群395点が追加指定された。

 絹本著色地蔵十王図は、全21点。読み書きのできない庶民のために、仏教の経典に描かれた地獄の世界を教える目的で描かれた。死者の生前の行いを裁く「閻魔王」ら10人の王を描く「十王図」を基本に、地蔵菩薩や弥勒菩薩が住む天界のひとつ「兜率天(とそつてん)」の絵などがある。

 画風は、現代の漫画に通じるくだけた雰囲気で、地獄の恐ろしさを伝えながらも鬼の表情や動きがユーモラス。庶民的な絵画だったことをうかがわせる。

 21点のうちのひとつに、苦痛に耐えながら年を重ねる人の一生を描いた「老いの坂」が描かれているのが大きな特徴。この題材は、中世の地獄絵には描かれた例が少ないとされる。

 高島硯の製造用具は、大正時代から使われてきた、石材を切るためのノコギリや仕上げ用の砥石(といし)など、全110点。

 高島硯は、その色合いなどが多くの書家や文人らに受け入れられ、江戸時代に全国的なブランドとなった。市内の阿弥陀山で産出する「粘板岩」が材料。現在は、職人の後継者不足などから製作が途絶えている。

 分部家の文書は、廃藩置県後に散逸した資料を旧家臣ら有志が購入し、平成22年に市へ寄贈。このうち、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康に関する資料を「信長・秀吉・家康の書状3通4点」として先に指定。今回、残りの395点を追加指定し、「大溝藩分部家文書」として名称変更した。
産経新聞


HOME
Copyright (C) 2014 Shoei Real Estate Corporation. All Rights Reserved